私の今日まで その11
赤いからすに現れたチンさんは、私が想像しているよりもずっと優しそうな方でした。
そのアルバムはビデオアーツと言うレコード会社からリリースされるもので、
チンさんはそのアルバムのプロデューサーの方と2人でいらっしゃいました。
なんと目の前のテーブルにお二人で座られて、私はとても緊張していましたが、
今の自分のバンドでの自分の歌は、以前の歌に比べて少し自信が持てるものでしたので、
その時に得意とするレパートリーをセットリストに入れて歌いました。
セット間休憩でテーブルに呼ばれるとチンさんは
「とても良かったですよ」と静かにおっしゃいました。
緊張がほぐれていった瞬間でした。
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